『ガンスリンガー・ガール』をめぐる冒険(1)

GUNSLINGER GIRL 1 (電撃コミックス)

GUNSLINGER GIRL 1 (電撃コミックス)

ガンスリンガー・ガール』について、"悪趣味を悲哀でコーティングして免罪符を得ているような作品"と評することは容易い。

例えば悲惨な事件に巻き込まれて死にかけて死にたいと言っている少女に機械の手足を与えてしまう身勝手な振るまい。例えば投薬によって少女たちから無条件の信頼を得てしまう「条件付け」。例えば男たちよりも弱い少女たちの社会的身分。例えば「条件付け」られて銃器を手にした彼女たちの戦闘美少女的な振るまい。例えば戦いで傷付く少女たちの身体性とそれによって勝手に心を痛める男たち。例えば傷付いた少女たちの身体を癒すためにさらに加速する「条件付け」…。

ただし、この作品はそれらが最悪だということを自ら宣言している。それは彼女たちが属する組織に"社会福祉公社"というふざけた名前が与えられていることからも明確に見て取ることができる。よって問題はそちら側ではない。

この作品はオタクと二次元美少女の関係性を描写しようとしている。ただ、その種の問題意識を抱えた作品は『ガンスリンガー・ガール』だけではない。ならばこれを特権的に扱う意味はあまりないと言えるかもしれない。しかし裏を返せば、こう指摘することもできるだろう。この類の想像力はゼロ年代を象徴する同時代性のひとつなのではないか、と。

ゼロ年代と90年代を考える上で見落とすことのできないこの点については、機会を改めて慎重に検討していきたい。