西島大介著『土曜日の実験室 詩と批評とあと何か』読んでる途中

土曜日の実験室―詩と批評とあと何か (Infas books)

土曜日の実験室―詩と批評とあと何か (Infas books)

今日は風邪で寝込んでしまった。ちょっと退屈したので温め続けていた『土曜日の実験室』を読む。そして、やっぱりこの人は天才だと思う。彼がやっていることはあまりにもさりげないのでさらっと流してしまいそうになるが、何かの本質をムギュッとつかんでそれを自分の言葉に並び換えてしまえるという彼の才能は、もっと高く評価されても良いと思う。その彼の才能がよく表れているのが、この著者初の短編集。
凹村戦争』、『世界の終わりの魔法使い』などに代表される彼の諸作は、ストーリー・テリングやマンガとしての出来だけでなく、批評性までもイラストレートした作品として個人的に(絶大に)支持している。データベース消費的世界観/セカイ系的世界観を包含し圧倒的な情報量を持つそれらの作品は、それ自体で優れた物語として評価されているが、それ故に批評として顧みられない怖れがある。それらの作品と比して、短編集である『土曜日の実験室』は西島大介の批評家としての側面を際立たせている。
まだIIの途中までしか読めてないけど、素晴らしかったのは以下の通り。

他にも面白いところは多いし、それらの中からいくつかはこのブログでも取り上げて考察する予定。まずは『サブカルvsオタク最終戦争』がターゲット。あと、この短編集にはさまざまな雑誌に掲載されてきた彼のコラム的な文章も収録されているんだけれど、これらもなかなか優れていて西島が持っているストーリー・テリングの才能と批評性を物語っている。

というわけで、西島大介が好きな人には、とにかく『土曜日の実験室』を読んで“ストーリーテリング+批評”というの彼本来の感性を見てもらいたいなあ。そのあとで『凹村戦争』とかを振り返ると、あのときはまったく気が付かなかったようなことを発見できてしまうかもね。