グラフィティとしてのはてなスター

さんざん既出とは思いますが、はてなスターの引用機能はおもしろい。ご存じない方のために機能を簡単に説明すると、スターをaddするとき、エントリのある部分をドラッグしながら星を与えると、ドラッグした部分が星にキャプションとして付属するというものです。つまり星をつけるときにどこが良かったのかを引用して明示することができるわけです。正直なところ、twitterの次はtumblrかよと思わないでもない。ただ、想像力さえ働かせればもっとおもしろい使い方もできるし、既にやっている人たちもいるはずだよね。

例えばエントリから1つずつ違う文字を引用していくことで、もともと存在しなかった文章を紡ぐことだってできる。それでメッセージを伝えてしまうこともできるのだ。素敵なエントリから1文字ずつ星で紡いで「あ」「ん」「た」「バ」「カ」「ァ」と親愛を込めてみたり。苦難に直面しているブロガーのエントリから「逃」「げ」「ち」「ゃ」「ダ」「メ」「だ」と抽出してエールを送ったり。巡回先で自分のことを褒められてたら「な」「に」「を」「言」「う」「の」「よ」とか。

でも、この機能が示した重要な点は、僕たちはその気になればどこにでも落書きをできるということにあるのではないかと思う。例えばそのエントリがエヴァとは全然関係ないものだったとしても、エントリの中に「レ」と「イ」と「、」と「心」と「の」と「向」と「こ」と「う」と「に」が含まれていたらそれだけで「レイ、心の向こうに」と紡ぐことができてしまう。ぜんぜん関係ないことを記されたとき、はたしてブロガーはどう感じるのだろう。それは個人的には好ましい状況だとは思わない。しかし。

もしもはてなスターの引用機能だけで文章を紡ぐことが芸になり得るのであれば、あらゆる文脈を乗り越えた自己表現が盛んになるということもあるかもしれない。例えば、限られた文字数のエントリ内で、より少ないスターを使ってどれだけ人目を引くポエムを紡げるのか、ブロガーたちがそのスキルを競うような空間が生成されたらおもしろい。もちろんその空間というのはどのブログでもいいわけではなくて、ちゃんと定められた場を提供する。そしてルールを決める。その上でスキルを競う。グラフィティ*1を、ストリートの文化をウェブに。

今日僕はそんなことを夢想した。

*1:グラフィティというよりはリーガル・ウォールか